
歯科医院の成長は、優れた技術や最新設備だけではなく、スタッフ全員が安心して働ける環境づくりが重要です。とくに就業規則は、労働条件や勤務体制、役割分担などを明確にできます。トラブル防止にも役立つでしょう。この記事では、歯科医院におけるルールづくりや、就業規則の作り方についてくわしく紹介しますので、参考にしてください。
クリニックにおける就業規則とは
クリニックで働く職員が安心して働ける環境を整えるためには、就業規則の整備が欠かせません。就業規則は職員の勤務条件やルールを明確化するものであり、トラブルの防止や業務運営の円滑化に役立ちます。職員が常時10人以上いる場合には、法律により就業規則の作成が義務付けられています。クリニックにおける就業規則の基本的な内容と、作成時に注意すべきポイントについてくわしく解説しますので、参考にしてください。
絶対的必要記載事項
就業規則の中でも、労働基準法により必ず記載しなければいけない項目があります。これを記載しなければ法的要件を満たさず、就業規則として認められません。具体的には、勤務の始まりと終わりの時間、休憩時間、休日や休暇の設定が含まれます。また労働者を交替制で勤務させる場合の就業時転換に関する事項、賃金の決定方法や支払い方法、締め日や支払日、昇給の条件、退職や解雇に関するルールも必要です。これらの項目を明確にしておくことで、給与や休暇に関するトラブルを未然に防げます。
相対的必要記載事項
相対的必要記載事項は、制度やルールを設ける場合に就業規則に記載が必要な項目です。制度自体を導入しなければ記載義務はありませんが、導入する場合は必ず規定に反映させる必要があります。退職金制度を設ける場合は退職金の内容、賞与や最低賃金額の設定、従業員に食費や作業用品を負担させる場合の規定、安全衛生に関する定め、職業訓練の制度、災害補償や業務外の傷病扶助、表彰や制裁に関する事項などが該当します。明確にしておくことで、職員からの誤解や不満を防げるでしょう。
任意記載事項
任意記載事項は法律で明記されていない項目であり、クリニック側が必要に応じて定めることが可能です。とくに適用範囲が重要となっており、正社員だけではなくパートやアルバイトにも適用する場合は、明確に規定しておくとトラブルを避けられます。また勤務中の業務専念、セクハラやパワハラの禁止、機密情報の保持、身だしなみなどの服務規律も定めておくと職場の秩序維持につながります。
さらに休職に関する規定も重要で、病気や精神的な理由による休職、復職手続きや復職できない場合の対応についても事前に定めておくとよいでしょう。事前に定めておくことで職員の安心感を高められ、クリニック全体の運営の安定にもつながります。