
歯科衛生士の採用に難しさを感じている歯科医院の採用担当者は多いのではないでしょうか。慢性的な人手不足や求職者の働き方の多様化など、採用活動を取り巻く環境は複雑化しています。そこで今回は、歯科衛生士の採用におけるおもな課題と、採用を成功させるための具体的な方法、そして具体的な採用事例について詳しく解説します。
歯科衛生士の採用にあたっての主な課題
昨今、歯科衛生士の採用は年々難易度を増しています。この背景には、おもに3つの大きな課題が存在します。ひとつ目は、全国的な人手不足と高い有効求人倍率です。歯科医院は増加傾向にありますが、歯科衛生士の増加率は伴っていません。つまり。需要と供給のバランスが崩れている状態にあるのです。歯科衛生士一人あたりの求人数を示す有効求人倍率は高い水準で推移しており、多くの歯科医院が人材確保に苦慮している現状があります。
とくに都市部では競争が激化し、求職者にとって選択肢が多いため、自院の魅力を十分に伝えられないと採用に繋がりません。
次に、他院との差別化の難しさも課題のひとつです。多くの歯科衛生士の仕事内容は、診療補助や予防処置など、どの医院でも似通っています。
そのため、求職者は仕事内容以外の要素、具体的には給与、福利厚生、職場の人間関係といった部分で比較検討する傾向が強くなります。独自の強みや魅力が明確でなければ、多くの競合に埋もれてしまい、応募者を獲得することは困難です。
最後に、ワークライフバランスを求める求職者の離職率と定着率の低さの問題もあります。歯科衛生士は、ライフステージの変化(結婚、出産、育児など)を迎える女性が多い職業です。
そのため、時短勤務や休職制度など、柔軟な働き方を提示できない歯科医院では、せっかく採用しても定着せず、離職に繋がってしまうケースが少なくありません。求人の課題を克服するためには、従来の採用活動を見直し、新たな戦略を立てる必要があるでしょう。
歯科衛生士の採用を成功させるコツ
歯科衛生士の採用を成功させるためには、従来の求人票を出すだけという受け身の姿勢から脱却し、能動的なアプローチが必要です。ひとつめのコツは、求人情報に募集要項だけの載せるのではなく、自院の強みや魅力を伝える内容も載せることです。たとえば「当院で働くことでどのようなスキルが身につくのか」「どのようなキャリアパスが描けるのか」を具体的に示します。
次に、求人記事だけでなく自院の公式ホームページも整えるといいでしょう。求職者は、求人情報にくわえ、採用先の情報も自分で検索するので、安心感を持ってもらうためにも公式ホームページを充実させるといいでしょう。
具体的には、サイト内にブログ機能やインタビュー記事などを設け、院長や先輩スタッフの想いを伝えるなど、働くスタッフの声がわかる内容がおすすめです。
さらに、求職者一人ひとりの希望に柔軟に対応できる体制を整えることも成功の鍵です。時短勤務や週休3日制など、多様な働き方を導入することで、子育て中の歯科衛生士やブランクのある歯科衛生士も安心して応募できるようになります。
しかし、これらの情報を各媒体に点在させるだけでは、情報の統一性や訴求力に欠ける可能性があります。そこで、自院の強みや魅力を網羅的に、かつ効果的に伝えるための有効な手段が、求人サイトの活用です。求人サイトを起点とすることで、より詳細な情報を伝えられるでしょう。
歯科衛生士の具体的な採用事例
歯科衛生士の採用に成功し、高い定着率を維持している歯科医院には共通の秘訣があります。それは、自院の強みや採用候補者の特性に合わせたアプローチです。ある歯科医院では、地方から上京する新卒者をメインターゲットに、教育体制の充実や働きやすさをアピールし、通年採用に成功しています。別の医療法人の事例では、歯科医師と歯科衛生士で求人原稿のアピールポイントを変える工夫をしていました。歯科医師には産休育休の実績や女性医師のキャリアパスを、歯科衛生士には研修制度やチームで働ける安心感を強調するというアプローチです。
さらに、ある医療法人では、在籍スタッフに「なぜ当院を選んだのか」を尋ね、その答えを求人広告に反映させています。また、同規模の競合医院の求人を参考にしながら、自院の強みを分析し、差別化を図ることで人材獲得につなげています。
これらの事例からわかるように、採用成功には、求人広告の文章や写真を定期的に見直し、チームワークや雰囲気が伝わるような工夫を凝らすことが大切です。そして、求人情報を集約し、より効果的に伝えるための手段として、求人サイトの活用が有効であるといえるでしょう。